尿漏れの原因は「年齢」や「性別」で変わりますが、多くの場合は改善が見込めます!
「無意識のうちに尿が漏れるようになってしまった。大人になって尿を漏らすなんてみっともない…」
尿漏れと言えば、とても恥ずかしいことだというイメージがあります。
ですが、安心してください。
尿漏れという症状はごく一般的なもの。
あまり人に言わない方が多いだけで、特に40代以上の方は多くが尿漏れを経験しています。
そして、その原因にはいくつも種類があります。
尿漏れの多くは軽症で、原因を知れば自分だけで解決できる場合も少なくありません。
その一方で、まれに早期の治療が必要になることもあります。
これからどうすれば尿漏れを改善できるのか判断するために、とにかく原因を知ることが必須!
ぜひ、あなたの悩みを無くすための参考にしてください。
1.お腹に力を入れたら尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」は骨盤底筋のゆるみが原因です
2.男性は骨盤底筋が弱ると「排尿後尿滴下」が起きやすい
3.突然の尿意で尿漏れする「切迫性尿失禁」は、膀胱に脳からの信号がうまく伝わらないことが原因です
4.排尿後に尿漏れする「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」は重い病気が原因かもしれません
お腹に力を入れたら尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」は骨盤底筋のゆるみが原因です
まずは、「腹圧性尿失禁」という症状についてです。
膀胱の動きをコントロールする「骨盤底筋」が痛んでいたり、ゆるんでいることで起きます。
重いものを持ち上げたり、くしゃみをした際にはお腹に力が入りますよね。
その圧力に弱った骨盤底筋が耐えられず、膀胱から尿が少し漏れてしまうんです。
関連記事:「くしゃみで尿漏れをする原因は「腹圧性尿失禁」かも?体操と生活習慣で改善!」
腹圧性尿失禁は、妊娠・生理・肥満・慢性的な便秘などが原因で若い方にも起きる可能性があります。
まずは自分の尿漏れの原因が何なのかを突き止めて、正しく対策しましょう。
関連記事:「若い方にも尿漏れはあるので原因を知り対策しましょう」
女性は腹圧性尿失禁になりやすい
女性の尿道は3~4cmと男性に比べて短く、形もまっすぐです。
尿道の開閉をする「骨盤底の筋肉群」も男性に比べて弱いとされています。
そのため、女性は男性よりも膀胱に圧力がかかることで意図しない排尿が起こりやすく、特に腹圧性尿失禁になりやすいのです。
また、女性には尿漏れしやすい時期があります。
生理前、妊娠中が代表的で、出産しやすいように骨盤底筋を緩めるホルモンが分泌されるためです。
妊娠中に起きる尿漏れは時期も原因も分かっているので、尿漏れを予防する体操や骨盤を締めるベルトで改善することもできます。
関連記事:「妊娠中の尿漏れは体操やベルトで骨盤を締めることで改善されやすくなります」
腹圧性尿失禁を改善するには、その原因である骨盤底筋を強くする!
腹圧性尿失禁は骨盤底筋のゆるみで起きるもの。
根本的に改善するためには、骨盤底筋をトレーニングしましょう!
軽度なら「骨盤底筋体操」という方法がおすすめです。
・仰向けに寝転がり、足を肩幅に開いて膝を立てる
・肛門、尿道周辺にキュッと力を入れ5秒~20秒ほどキープし、力を抜く
・40秒~55秒ほど休憩し、また同じように力を入れる
このトレーニングを1日10分でいいので、3か月程度継続することで効果が期待できます。
筋力を鍛えるだけなので、時間はかかりますが副作用のない治療法です。
関連記事:「尿漏れの予防や改善には1日10分の骨盤底筋体操が効果的です!」
これでも改善しない場合は、手術で尿道を固定するという選択肢もあります。
一般的なのは「TOT手術」で、早ければ手術の翌々日には退院できるほど体への負担は少ない手術です。
男性は骨盤底筋が弱ると「排尿後尿滴下」が起きやすい
男性の尿道は17~20cmと女性よりもはるかに長く、2か所折れ曲がっている部分があります。
この特徴から、男性は骨盤底筋が弱ることで排尿後尿滴下という尿漏れが起きやすくなります。
排尿後尿滴下はトイレで排尿し終わった直後に、尿が流れ出てくる現象。
骨盤底の筋肉群が弱くなると尿を押し出す力が減り、長い尿道の途中で尿が止まってしまい後にそれが少し遅れて流れ出てきてしまうのです。
排尿後尿滴下は排尿後の尿道を下から指で直接押して尿をしぼり出すミルキングという簡単な方法で対処する事ができます。
関連記事:「男性の尿漏れは加齢と共に誰にでも起こることです」
突然の尿意で尿漏れする「切迫性尿失禁」は、膀胱に脳からの信号がうまく伝わらないことが原因です
次は「切迫性尿失禁」という症状について見ていきます。
膀胱は広がることで尿をため、縮むことで尿を排出します。
通常、この動きは脳でコントロールされているのですが、コントロールできていない場合にそれが原因で切迫性尿失禁が起こります。
「尿がたまったら膀胱を収縮させる」という脳の信号が上手く膀胱に伝わらず、勝手に膀胱が縮むことで突然強い尿意を感じ、こらえきれず漏らしてしまうのです。
女性の切迫性尿失禁の原因
「膀胱瘤」や「子宮脱」のような骨盤臓器脱という病気が原因で起きることがあります。
関連記事:「女性の尿漏れの原因は大きく分けて二つあり対策がそれぞれ違います」
男性の切迫性尿失禁の原因
男性の切迫性尿失禁は、「前立腺肥大」や「前立腺がん」によって発症する場合が多いです。
前立腺は男性だけが持つ臓器で、加齢とともに肥大する傾向があります。
前立腺の肥大は80歳までに9割近くの男性に発症し、それに伴って尿漏れも起きやすくなるのです。
関連記事:「男性の尿漏れは加齢と共に誰にでも起こることです」
前立腺に異常が起きると、それが切迫性尿失禁の原因になります。
尿道が前立腺で圧迫された状態が続くことで脳の指令がうまく膀胱に伝わらず、膀胱が暴走してしまうのです。
前立腺異常はさらに重篤な病気に繋がる可能性があるので、そのサインを見逃さず、早めに医療機関で受診することが大切です。
関連記事:「男性特有の前立腺異常による尿漏れは放置しないで専門医に相談」
切迫性尿失禁は「膀胱訓練」や投薬治療で改善が期待できます
切迫性尿失禁は、現代の医学では原因がわからない場合もあります。
膀胱の過剰な働きを抑える薬を投薬するか、「膀胱訓練」という尿意を少し我慢してからトイレに行くことで脳からの信号を正常に膀胱に伝える訓練によって改善します。
排尿後に尿漏れする「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」は重い病気が原因かもしれません
切迫性尿失禁が悪化すると、溢流性尿失禁になる場合があります。
典型的な症状は、尿が出しにくいことが原因で残尿が膀胱からあふれて流れ出てしまうというものです。
女性の溢流性尿失禁の原因
膀胱周辺の神経が機能低下している場合や、子宮脱などで尿道が圧迫されている場合が考えられます。
他にも、膀胱の収縮力の低下で尿が出しにくくなることによっても起きます。
男性の溢流性尿失禁の原因
「前立腺肥大」や「前立腺がん」で起きた切迫性尿失禁が悪化することで溢流性尿失禁になるとされています。
溢流性尿失禁を改善するには、原因に合わせた治療が必要
前立腺肥大が原因の場合は前立腺を小さくする薬や手術を使う、など、原因に合わせて治療します。
薬物療法は困難で、多くの場合手術・間欠導尿(1日3~6回カテーテルを入れて膀胱の尿を取り除くこと)が必要になります。
残尿が細菌で汚染されて尿路感染症の原因になったり、腎臓から膀胱への流れが妨げられて腎不全になることもありうるので、早期の治療が必要です。
溢流性尿失禁かもしれないと思ったら、迷わず医療機関を受診してください。
尿漏れという症状の原因は男女によってかなり違いがありますが、「誰にでもいずれは訪れる」という点では共通しています。
一口に「尿漏れ」と言っても、その原因は多種多様です。
自分で対策する場合も、病院で治療を受ける場合も、まずは自分の尿漏れの原因が何なのか?ということを知る必要があります。
ほとんどの場合は投薬や手術に頼らなくても改善できますが、悪化する場合もあるので早めの対策が肝心です。
しっかりと症状を知り、適切な対応を取りましょう!